1945(昭和20)年、戦争が終結したにもかかわらず、シベリアを始めとする旧ソ連やモンゴルの酷寒の地において、乏しい食糧と劣悪な生活環境の中で過酷な強制労働に従事させられた戦後強制抑留者(シベリア抑留者)は約60万人にものぼるといわれます。そのうちおよそ6万人が、故郷に帰ることなく命を落としました。
 漫画家・おざわゆき氏の父親である小澤昌一氏も、シベリア抑留を耐え抜いた一人でした。学生時代に聞いた父の抑留体験は「どんな戦争関連の記録よりも異質」であると衝撃を受けたおざわ氏は、「マンガにしたい」と強く思います。そして後年、『凍りの掌』の執筆を始めたのです。完成した同人誌『凍りの掌』は後に単行本化を果たし、2012 (平成24) 年に第16回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を、2015年に母親の空襲体験をもとにした『あとかたの街』とともに第44回日本漫画家協会大賞を受賞。2019(令和元)年にはドラマ化も果たしました。
本企画展では、2008(平成20)年から2年半の歳月をかけて完結した同人誌『凍りの掌』の直筆原稿を展示し、先の見えない絶望の抑留生活、その中で必死に生き延びようとした人々の姿を紹介します。

◆チラシPDF版はこちら

日 時 2025年1月21日(火)~4月20日(日)
前期:1月21日(火)~3月2日(日)、後期:3月4日(火)~4月20日(日)
9:30~17:30 (入館は17:00まで)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合はその翌日)、2月2日(日)住友ビル全館休館日
会 場 帰還者たちの記憶ミュージアム 企画展示コーナー

作者紹介

おざわゆき
愛知県出身。集英社の少女漫画誌で漫画家デビュー。父親のシベリア抑留体験を描いた『凍りの掌 シベリア抑留記』、母親の空襲体験をもとにした『あとかたの街』(講談社)を描き、高く評価される。他には『傘寿まり子』(講談社)、『LP〜ライフ・パートナー〜3番目の配偶者』(集英社)など。現在『またのお越しを』講談社BE・LOVE誌にて連載中。

関連イベント(参加無料・予約不要)

・学芸員によるギャラリートーク
 1月26日(日)、2月16日(日)、3月16日(日)、
 3月20日(木・祝)、3月30日(日)、4月13日(日) 各日13:00~(約30分)

・抑留体験者による定期語り部お話し会
 2月16日(日)、3月16日(日)、4月20日(日) 各日14:00~(約60分)
 ※都合により語り部が変更となる場合がございます。

・おざわゆきトークイベント「父の抑留体験と漫画『凍りの掌』」
 3月20日(木・祝) 14:00~(約60分)

■展示会場をめぐってスタンプを集めましょう!■
(グッズ引き換え期間 2025年2月5日から4月20日まで)
九段生涯学習館で開催する特別展「戦争になるとどうなるの?」と帰還者たちの記憶ミュージアム(西新宿)で開催する企画展「凍りの掌」原画展の2か所の展示会場をめぐり、特別展チラシにスタンプを押しましょう。スタンプを揃えた方には、オリジナルグッズをさしあげます。
※チラシをお持ちでない方には展示会場で差し上げます。

『凍りの掌』同人誌版2巻表紙
『凍りの掌』同人誌版2巻14ページ
『凍りの掌』同人誌版3巻13ページ
『凍りの掌』同人誌版3巻86ページ

平和祈念展示資料館 (総務省委託)