20世紀半ば、リトアニアとその国民は試練と喪失の時代を経験しました。リトアニアは1940年にソ連に武力併合され、翌1941年から1944年までナチス・ドイツによる占領に苦しみます。その後再びソ連に支配され、およそ50年にわたる弾圧を受けました。
 反ソ的とみなされた約28万人のリトアニア人が、北極圏やカザフスタン、シベリアなどの流刑地へと送られ、過酷な労働を強いられました。彼らは長期間にわたり抑留され、後に故郷へ生還できた一部の人々もソ連秘密警察の監視下に置かれます。自らの経験を家族間で話すことすらできず、抑圧されたまま生活しなければなりませんでした。
 本展では、リトアニア国立博物館の協力のもと、ソ連政府が占領下のリトアニアの住民に対して行った政治弾圧と、強制移送された人々を待ち受けていた過酷な環境や労働、人としての尊厳や民族的アイデンティティを失うことなく生きようとする彼らの不断の努力、そして祖国への帰還の望みを紹介します。彼らの生きた証は、たとえ過酷な状況下であっても、ひとりひとりの名前が記憶され、その命が尊ばれるべき存在であることを、現在を生きる私たちに訴えかけています。

◆チラシPDF版はこちら

日 時 2024年10月16日(水)~2025年1月19日(日)
※会期中に一部資料の入れ替えを行います。
9:30~17:30 (入館は17:00まで)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合はその翌日)、12月28日(土)~1月6日(月)
会 場 帰還者たちの記憶ミュージアム 企画展示コーナー
主 催帰還者たちの記憶ミュージアム(平和祈念展示資料館[総務省委託])
共 催リトアニア国立博物館
協 力駐日リトアニア共和国大使館

関連イベント(参加無料・予約不要)

アニメ上映(13分)
リトアニアのクリエイターが制作した短編アニメ映画『PURGA』を上映します。
時間:10:00から30分毎(最終上映16:30)
PURGA, 13min, 2023, Lithuania
PURGA film project : Gintarė Valevičiūtė Brazauskienė,Antanas Skučas
『PURGA』公式ホームページはこちら

学芸員によるギャラリートーク
日時:2024年10月20日(日)、11月17日(日)、12月15日(日)、2025年1月19日(日)
   各日とも13:00~(約30分)
同日14:00より定期語り部お話し会を開催します。
ヴォルクタ収容所のフェンスと監視塔(通期)
独立リトアニアのシンボルが縫われた刺繍(通期)
追放された9歳の少女がくじ引きで遊ぶために描いた絵(通期)
伐採作業中のリトアニア人追放者(通期)
リトアニアへの帰途につく女性と子供たち(通期)
平和祈念展示資料館 (総務省委託)