故・西﨑信夫氏は1942(昭和17)年に若干15歳で海軍に志願し、海軍特別年少兵の1期生となりました。海軍特別年少兵とは、14歳以上16歳未満の少年を将来の中堅幹部要員として育成するための制度で、4期18,160名が採用され、2期までの約7,400名の修了者のうち約3,200名が戦死したとされています。その後、西﨑氏は稀代の幸運艦として知られる駆逐艦「雪風」に乗艦し、まだ10代後半でありながら数多くの海戦に参加しました。そこで多くの僚艦が沈没し、戦友たちが死傷する有り様を目の当たりにしています。また戦後も雪風に残り、海外からの復員・引揚げ輸送に従事し、そこで着の身着のままの姿となった人々を目撃しています。鎮魂の想いから2013(平成25)年2月より当資料館語り部となり、自身の戦争体験を積極的に発信し続けましたが、コロナ禍でお話し会が中止となる中、2021年11月にお亡くなりになりました。昨年、ご遺族から当資料館へ海兵団時代の日記などの資料をご寄贈いただきました。他にも当資料館作成の記録映像や、ご本人の著書も遺されています。これらを手がかりに、関連する戦跡の写真なども交え、戦中・戦後に1人の少年がたどった軌跡を見つめます。

◆チラシPDF版はこちら

日 時 2024年7月17日(水)~10月14日(月・祝)
前期:7月17日(水)~9月1日(日)  
後期:9月3日(火)~10月14日(月・祝)
9:30~17:30 (入館は17:00まで)
休館日:7月22日(月)、7月29日(月)、8月5日(月)、8月19日(月)、8月25日(日)、8月26日(月)、9月2日(月)、9月9日(月)、9月17日(火)、9月24日(火)、9月30日(月)、10月7日(月)
会 場 帰還者たちの記憶ミュージアム(平和祈念展示資料館) 企画展示コーナー

西﨑信夫氏 プロフィール

1927年1月2日、三重県鵜方村(現・志摩市)生まれ
1942年9月、海軍特別年少兵の第1期生として、広島県の大竹海兵団に入団
1943年8月、横須賀の海軍水雷学校普通科に入校し、11月に繰上げ卒業
1943年12月、駆逐艦「雪風」に乗艦。以後、魚雷発射管の射手や対空機銃要員として主要海戦に参加
1945年8月、京都府伊根村(現・伊根町)で終戦。最終階級は一等兵曹。以後も雪風に乗務し、甲板長として復員・引揚げ輸送に従事
1947年10月、復員
2013年2月、平和祈念展示資料館の語り部としての活動を開始
2019年2月、西崎信夫著・小川万海子編『「雪風」に乗った少年―十五歳で出征した「海軍特別年少兵」―』(藤原書店)を発刊
2021年11月17日、逝去。享年94歳

2018年8月
1942年12月頃

企画展関連イベント(参加無料・予約不要)

担当学芸員によるギャラリートーク
日時:7月21日(日)、8月2日(金)、8月3日(土)、8月4日(日)、9月21日(土)、10月14日(月・祝)
   各日とも13:00~(約30分)

トークイベント
日時:8月10日(土) 14:00~(60分)
西﨑氏の著書の共同執筆・編集者である小川万海子氏ら関係者が、氏の生前の人となりやエピソードを語ります。

映像上映
生前の語り部お話し会の記録映像(約120分 または短縮版)を上映します。
詳しい上映の日時はビデオシアター上映予定をご確認ください。
大竹海兵団時代の日記
大竹海兵団の修業アルバムより「1日の始め」(前期)
復員・引揚げ輸送を終え、賠償艦となる元駆逐艦「雪風」
写真提供:大和ミュージアム
第十七駆逐隊の慰霊碑
平和祈念展示資料館 (総務省委託)