1945年8月15日、当時海外に暮らしていた一般邦人は、日本の敗戦によって彼らの後ろ盾となるすべてを失います。満州や朝鮮北部に「難民」状態で取り残された100万人あまりの人々は、帰国の目途が立たないまま、ソ連兵や現地住民による略奪や暴行、酷寒、飢え、伝染病などにさらされ、絶望の淵をさまよいました。
あれから78年。UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)によれば、現在、紛争や迫害によって故郷を追われた人は約1億人といわれます。南スーダン、ミャンマー、シリア、アフガニスタン、そしてウクライナ。かつて引揚げを体験した日本人が味わった塗炭の苦しみが、今も世界中で繰り返されています。
本シンポジウムでは、過去と現在の難民問題をとりあげ、3人の専門家がそれぞれの研究分野から論じます。
◆2023秋のイベント チラシPDF版はこちら
日 時 | 2023年11月3日(金・祝) 13:30~16:30(開場 13:00) |
料 金 | 無料 |
会 場 | 新宿住友スカイルーム Room5+6 (東京都新宿区西新宿 2-6-1 新宿住友ビル 47 階) |
定 員 | 130名 |
参加申込み期間は終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました。
プログラム
■第1部 基調講演 (13:30~15:00)
「難民問題の視点から満洲引揚げを考える」
加藤 聖文(人間文化研究機構国文学研究資料館/総合研究大学院大学准教授)
「世界と日本の難民問題 ~人道と政治のはざまで~」
滝澤 三郎(東洋英和女学院大学名誉教授/ケア・インターナショナル・ジャパン副理事長)
■第2部 座談会「過去と現在からみる難民問題」 (15:15~16:30)
滝澤 三郎、井上 卓弥(公益財団法人安達峰一郎記念財団理事/ジャーナリスト) 進行:加藤 聖文
※第1部と第2部の間に15分の休憩が入ります。
登壇者
加藤 聖文(かとう きよふみ)
人間文化研究機構国文学研究資料館/総合研究大学院大学准教授。専門は日本近現代史・東アジア国際関係史・アーカイブズ(歴史記録)学。著書に『海外引揚の研究』(岩波書店)、『満鉄全史』(講談社)、『満蒙開拓団』(岩波書店)、『国民国家と戦争』(KADOKAWA)、『「大日本帝国」崩壊』(中央公論新社)など。
滝澤 三郎(たきざわ さぶろう)
東洋英和女学院大学名誉教授/ケア・インターナショナル・ジャパン副理事長。UNIDO(国連工業開発機構)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などを経て現職。専門は、難民問題、日本の難民政策。主な著書に、『難民~行き詰る国際難民制度を越えて』(編訳、明石書店)、『国連式――世界で戦う仕事術』(集英社)、『世界の難民をたすける30の方法』(編著、合同出版)、『難民を知るための基礎知識』(編著、明石書店)など。
井上 卓弥(いのうえ たくや)
公益財団法人安達峰一郎記念財団理事/ジャーナリスト。
毎日新聞社で外信部や社会部、サンデー毎日編集部の記者やローマ特派員、学芸部編集委員を経て現職。記者時代には、コソボ、パレスチナ紛争などのほか、イラク戦争では米海軍への従軍取材を行った。著書に『満洲難民 三八度線に阻まれた命』(幻冬舎)。